価値観に対する感度を高めると迷いが消える

仕事の価値観とマネジメントについて。

 

ビジョンとは斯くあるべしという理想であり、行動指針であるクレドは、社員の人としての生き方、在り方についての願い。

 

自分の仕事の価値は何か、自分はどんな価値を提供したいと思っているのか、顧客・社会にとっての価値は何か

自分の価値観に対する感度を常に高めておくことで、いつ、何が起きても迷いなく、また迷いがあったとしても後悔のない判断を下すことができる。

 

顧客・社会にとっての価値と組織が実現する価値、すなわち企業理念を整合させることが経営者の仕事である。

営利活動を前提とし、儲からなければ存続できない企業の目的を社会・顧客の利益と一致させるとは常に矛盾を孕み、容易なことではない。

義理人情に厚い、誠実、謙虚、感謝の心を是とする人格者な面と、苛烈な商売人として、常軌を逸するような交渉が実行できる、常人ではない鬼の一面、矛盾する二つの人格を両輪で回す必要がある。

 

そして、経営者が社会と企業理念とを一致させたのち、企業理念と各セクションの目的を整合させるのが幹部の仕事であり、自身のセクションの目的と従業員の目的、在り方を一致させるのがマネージャーの役割である。

これらが一気通貫で連動することで、個々の社員の仕事が社会への価値を生み出すこととなり、個々人のモチベーションとなり、組織の活力が増す。

この仕組みがマネジメントである。

 

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Life is good. shisei

迷わない人は、常に自分の判断基準を磨いている | DHBR編集長ブログ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

経営とは意思決定がすべてだが、ぶれずに瞬時に意思決定できる人は何が違うのか。それはあらゆる事態を想定しているという以上に、日頃から自分の価値観を磨き続けるトレーニングをしているからであろう。

 

ゲームに嵌っても、うまく付き合える人
 多くの意思決定を迫られる経営者の方々にお話を聞くと、「問題が起こってから考えるのでは遅い」とおっしゃる方が多いです。これは日頃からあらゆる事態を想定しておくという意味でもあるのですが、それ以上の意味もあります。

 それは、判断のよりどころとなる基準を常に磨いておくということだと思います。判断がぶれるというのは、基準がぶれるということ。基準が状況によって変わっていくことは当然あり、それを常に更新できている状態が「磨かれた」状態だと思います。

 新しいゲームが出て、それに夢中になってしまうことがあります。いまならさしずめ「ポケモンGO」でしょうか。何かに「はまる」と、時間の使い方が大幅に変わってきます。ポケモンのために通勤時間が余分にかかる人や睡眠時間を削っている人、あるいは読書などの時間が減っている人などがいるかもしれません。これらは、ゲームによってその人の時間の使い方の優先順位が変わったことになります。この変化を自覚していれば生活に支障はないですが、無意識のうちに優先順位が変わっている場合、自分の仕事や生活との向き合い方を見失っていることになるでしょう。

 自分の基準を明確にしていれば、新しいゲームに夢中になっても柔軟に軌道修正ができるはずです。私自身、いまポケモンGOにはまっていますが、この「はまる」という経験は、自分の価値観を自問する機会になっています。つまり、この時間が自分にとってどういう意味があるのかを、ときどき問います。

 自分の判断のよりどころを磨くとは、自分の価値観を鮮明にすることでもあります。本当に自分は何に価値を感じるのか。価値観は「好き嫌い」でもあります。好き嫌いのはっきりしている人は、生活のあらゆる場面で迷いがありません。何を食べるか、この映画を見るか、この飲み会に出るか、このような無数の意思決定を瞬時に下せる。これは仕事でも同じでしょう。自分のやっている仕事の価値は何か。自分はどんな価値を社会に提供したいと思っているか。顧客や社会にとって何が価値か。これらが明確になっている時ほど、迷いなく意思決定できるものです。

「日頃から考えている」とお話する経営者が多いです。この考えるとは、価値観を鮮明にすることなのです。ライフネット生命出口治明会長は、「タテ・ヨコ思考」と言う言葉で、歴史(時間軸という意味の「タテ」)と旅行(地理的な広がりという意味の「ヨコ」)の意味を説きます。時代を超えた場に自分が身を置いた場合、どういう判断をするか。海外の自分とは環境の違う場に置かれた場合、自分はどのように行動するか。自分には起こるとは思えない状況のシミュレーションをも続けることで、自分の価値観が磨かれて鮮明になるのでしょう。

 日頃からこのようなシミュレーションを繰り返している人は、新しいゲームが登場して夢中になったとしても、自分の価値観と結びついた向き合い方を、瞬時に見つけられるのではないでしょうか。(編集長・岩佐文夫)